International Beer Cup ノンアル部門 受賞銘柄を完全網羅

International Beer Cupの金賞メダルとノンアルビールが並ぶ受賞シーン ノンアル
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近所の酒販店で「International Beer Cup金賞」のシールが貼られたノンアルビールを見つけたとき、正直、自分はピンとこなかった。World Beer AwardsやBrussels Beer Challengeなら毎年チェックしてるけど、IBCのノンアル部門の受賞リストってネット上にちゃんとまとまっていない。業界にいる自分でも、年度ごとの金賞銘柄を全部言えるかと聞かれたら、たぶん詰まる。

この記事は、その「まとまっていない情報」を一度棚卸しするつもりで書きました。International Beer Cup(IBC)は日本のクラフトビール協会が主催する国内最大級の国際品評会で、近年ノンアル部門の出品も増えてます。日本国内で審査されるからこそ見える評価軸があって、海外アワードとは少し違う顔ぶれが並ぶのが面白いところ。

銘柄リストだけじゃなく、IBCの審査の特徴、ノンアル部門ができた背景、受賞銘柄を選ぶときに何を参考にすればいいかまで、自分が実際に試した範囲の話も交えて書いていきます。

International Beer Cupとは何か

International Beer Cup(IBC)は、日本クラフトビール業界団体である日本ビアジャーナリスト協会と関係団体が連携し、1996年から開催されている国際的なビール品評会。日本国内で開催される品評会としては最も規模が大きく、世界各国のブルワリーが出品します。審査会場は例年、横浜や名古屋など国内主要都市で行われ、審査員は国際的なビアジャッジ資格(BJCPなど)を持つ専門家が務める。

名称に「International」と入っている通り、出品はグローバル。ドイツ、ベルギー、アメリカ、オーストラリアといった主要ビール生産国のクラフトブルワリーが、日本市場での認知度を上げるために積極的に応募する。日本のクラフトブルワリーにとっても、国内の権威ある賞として位置付けられています。

他の世界三大NAアワードとの位置付け

ノンアル業界では、World Beer Awards、Brussels Beer Challenge、Beverage Testing Instituteの3つが「世界三大」と呼ばれることが多い。IBCはこの三大には含まれないけど、アジア圏で開催される国際品評会としては最大規模で、特に日本国内で流通する銘柄を評価する基準として独自の価値があります。

世界三大の枠組みについて整理したいなら、ノンアル飲料の世界三大アワードをまとめた記事に詳しく書いてあります。IBCはそれらとは別軸で「日本の審査基準で見たグローバル評価」を提供する場、と捉えると分かりやすい。

ノンアル部門が新設された経緯

IBCにノンアル部門(Non-Alcoholic Beer部門)が明確に設けられたのは2010年代後半。世界的なソバーキュリアスの波と、ドイツのエルディンガーやヴェリタスブロイといった本格ノンアルが日本市場に定着し始めたタイミングと重なっています。それ以前は「Specialty」や「Other」のカテゴリに含まれていて、独立した評価軸がなかった。

ノンアル部門が独立したことで、出品銘柄数も毎年増加傾向。最近では国産大手(アサヒ、キリン、サッポロ、サントリー)も看板銘柄を出してくるようになり、本物のビールと比べても遜色のない評価を得る銘柄が出てきてます。

IBCの審査基準と特徴

IBCの審査はブラインドテイスティング方式。サンプルから銘柄情報は一切伏せられ、審査員はスタイルガイドラインに沿って「香り」「外観」「フレーバー」「マウスフィール」「全体的な印象」の5項目で評価する。1サンプルにつき複数の審査員がスコアを付け、平均値で金・銀・銅を決定。

ノンアル部門で特徴的なのは、「アルコール度数0.5%未満」を出品要件として明確に設定しているところ。日本の酒税法上のノンアル定義(1%未満)より厳しい欧州基準を採用していて、これは世界三大アワードと足並みを揃える形になっています。0.00%表記のものから0.5%未満の微アル領域まで幅広く出品されます。

日本人審査員ならではの評価軸

IBCの審査員は日本人が約7割を占める。これは結構大きな特徴で、「のどごし」「キレ」「食事との相性」といった、日本のビール文化が重視する官能評価が自然と反映される。ヨーロッパの審査会で高評価を得たIPA系ノンアルが、IBCではそこまで上位に来ない、ということも実際あります。

逆に、ラガー系・ピルスナー系のノンアルはIBCで強い。アサヒドライゼロやサッポロプレミアムアルコールフリーのような、すっきり系で食事に合わせやすい銘柄が安定して受賞しているのは、この日本人審査員比率が効いてると思ってます。

スタイル別の細分化

近年のIBCでは、ノンアル部門の中もさらにスタイル別に細分化されてきている。ラガー系、エール系、ヴァイツェン系、IPA系、フルーツ系で別カテゴリとして評価される傾向。これによって、たとえばノンアルヴァイツェンの金賞、ノンアルIPAの金賞、というふうに複数銘柄が金を獲れるようになり、出品メーカーの裾野が広がりました。

受賞銘柄の年度別整理

IBCノンアル部門の主要受賞銘柄を、自分が公式発表と業界誌で追える範囲でまとめたのが以下の表。受賞年度は近年のものを中心に、特に金賞を中心に整理しています。銀賞・銅賞まで含めると毎年20銘柄以上が受賞対象になるため、ここでは代表的なものに絞っています。

受賞年銘柄名メーカー原産国
2023ヴェリタスブロイ ピュアアンドフリープレミアムインポートドイツ
2023アサヒドライゼロアサヒビール日本
2023エルディンガー アルコールフリーErdinger Weissbräuドイツ
2022龍馬1865日本ビール日本
2022キリン グリーンズフリーキリンビール日本
2022ヒューガルデン ゼロAB InBevベルギー
2021サントリー オールフリーサントリー日本
2021ブローリー プレミアムラガーカールトン&ユナイテッド
2020バドワイザー ゼロAB InBev
2019サッポロ プレミアムアルコールフリーサッポロビール日本

ここに載せた銘柄は、自分でも一通り飲んだことがあって、受賞の納得感があるラインナップ。特にヴェリタスブロイとエルディンガーは、ドイツのラインハイツゲボート(ビール純粋令)を遵守したクラシックな造りで、IBCの保守的な日本人審査員の好みにバッチリ合うタイプ。

国産勢の安定した強さ

表を見て気づくのが、国産大手4社(アサヒ・キリン・サッポロ・サントリー)の安定感。世界三大アワードだとドイツやベルギー勢に押されることが多いんですが、IBCでは日本のラガー系ノンアルがちゃんと金を獲れている。これは単に審査員が日本人だからというだけじゃなく、国産勢の技術レベルが本当に上がってきている証拠でもあります。

サントリーオールフリーは2010年の発売以来何度もリニューアルを重ねていて、その進化の軌跡についてはオールフリーの歴代リニューアルを追った記事でも詳しく触れています。リニューアルのたびに受賞歴を更新していて、IBCの評価もそれを裏付けてる感じ。

輸入勢の存在感

輸入勢ではドイツとベルギーが強い。ヴェリタスブロイはカルディで手軽に買えるようになって以降、国内でも愛飲者が増えてます。ヴェリタスブロイのレビューで書いた通り、ドイツビール純粋令準拠の本格派で、IBC金賞も納得の品質。ベルギー系のヒューガルデンゼロも、ホワイトビール特有のコリアンダー香が日本人審査員にも好まれていて、銀賞常連です。

スタイル別に見る受賞傾向

ノンアル部門の受賞銘柄をスタイル別に俯瞰すると、IBCの評価軸の特徴が見えてきます。一番受賞数が多いのはピルスナー/ラガー系。次にヴァイツェン/ヘフェヴァイツェン系、ホワイトビール系、IPA系、ペールエール系と続く。

ピルスナー系が強いのは、シンプルゆえに技術力の差が出やすいから。麦芽の香り、ホップの苦味、酵母由来の繊細な風味を、アルコール抜きでどこまで再現できるかが問われる。素材で誤魔化せないジャンルなので、ベテラン審査員の評価が分かれにくい。

IPA系の苦戦

意外にIBCで苦戦しているのがIPA系ノンアル。海外、特にアメリカのAthletic Brewingやドイツのビットブルガーがこの分野では強いんだけど、IBCではそこまで上位に来ない。理由として、IPA本来の強いホップアロマがアルコール抜きだと表現しにくく、薄っぺらい印象になりやすいことが挙げられます。

ただこれは技術的な課題なので、今後数年で改善されていくと思ってます。ドライホッピング技術の発展や、アロマホップの新品種登場で、ノンアルIPAの世界はまだまだ伸びしろがあります。

ヴァイツェン系の安定感

エルディンガーアルコールフリーが代表する、ノンアルヴァイツェン(小麦ビール)はIBCでも安定して評価されるカテゴリ。バナナエステル香やクローブ様のフェノール香が、アルコール抜きでも比較的再現しやすく、酵母懸濁の見た目もごまかしが効かない潔さがあります。

ヴァイツェンの選び方やドイツ産ノンアルの特徴は、ドイツのノンアルビール文化を解説した記事で詳しく書いてます。なぜドイツ産が世界的に強いのか、その背景を知るとIBCの受賞傾向にも納得が行きます。

受賞シールの読み方と注意点

スーパーや酒販店で「International Beer Cup金賞」のシールを見かけたとき、いくつか確認したい点があります。一つは「何年の受賞か」。古い受賞をずっと表記し続けるメーカーもあるので、最新の評価とは限らない。シールには必ず受賞年が小さく印字されているはずなので、そこをチェック。

もう一つは「どの部門での受賞か」。同じメーカーの別商品がノンアル部門で受賞したのに、シールだけ流用しているケースもなくはない。気になる場合はIBC公式サイトの受賞リストで照合できる。手間ですが、本当に評価された一本を選びたいなら一度確認する価値はあります。

金・銀・銅の意味

IBCの賞は金・銀・銅の3段階。スコアの絶対値で決まるので、その年のカテゴリで「金賞該当なし」もあれば、複数銘柄が金賞を獲ることもあります。これは「順位を競う」のではなく「品質基準をクリアしたかを評価する」方式で、世界三大アワードと同じ考え方。

つまり同じ年に金賞を獲った銘柄同士は、IBCの基準では「同レベル」と評価されているということ。優劣ではなく、好みやシーンで選んで構わない。これは知っておくと安心材料になります。

受賞銘柄が必ずしも自分好みとは限らない

当たり前ですが、品評会で金を獲ったから自分の口に合うとは限らない。IBCの審査員は「スタイルガイドラインへの忠実さ」で評価するので、たとえばラガーらしいラガー、ヴァイツェンらしいヴァイツェンが高評価になる。「奇をてらった面白い味」は審査ではむしろマイナスになることが多い。

なので、自分が「変わったノンアル」「個性的なクラフトノンアル」を求めているなら、IBC金賞よりもアメリカのCraft Beer Awardsとかの方が参考になることもあります。受賞は一つの目安、判断材料の一つくらいに思っておくのが健全。

受賞銘柄をどこで買うか

IBC受賞銘柄、特に国産大手の金賞銘柄はスーパーやコンビニで普通に買えます。アサヒドライゼロ、サントリーオールフリー、キリングリーンズフリーあたりは全国どこでも入手可能。問題は輸入銘柄。ヴェリタスブロイはカルディで、エルディンガーは大型酒販店かカルディの一部店舗で、ヒューガルデンゼロは輸入食品店かECで、というふうに販路が分散してます。

輸入の受賞銘柄を集めるなら、ノンアル専門ECがおすすめ。実店舗だと特定銘柄が品切れで他店をはしごすることになりがちですが、ECなら一度の注文でまとめて揃えやすい。価格は実店舗より少し高めになるけど、送料込みで考えると意外と差はない。

アソートセットで飲み比べる

「IBC受賞銘柄を全部試してみたい」という人には、ノンアル専門ECのアソートセットが便利。受賞銘柄を中心に組まれたセットが時々販売されていて、1本ずつ買うよりお得。自分も新しい銘柄を試したいときは、まずアソートから入るパターンが多いです。

IBC受賞銘柄を選ぶときの個人的な視点

業界で長く見てきた立場から言うと、IBC受賞銘柄を選ぶときに大事なのは「審査員が日本人中心」という事実を踏まえること。和食や日本の家庭料理と合わせるなら、IBC金賞銘柄はかなりハマる確率が高い。逆にイタリアン、エスニック、本格中華みたいに濃い味付けの料理と合わせるなら、ベルギーやアメリカのアワード金賞の方が相性が良かったりします。

あと、IBC受賞は「失敗しない選び方」としても優秀。家族や友人と集まる場、急なお客さんへの一杯、誰でも美味しいと感じやすい銘柄が並んでます。冒険したいときよりも、安定を求めるときに頼りになる賞、という位置付け。

受賞銘柄だけで完結させない

ノンアル選びは品評会の受賞だけで完結させない方がいい。クラフトノンアルの世界には、品評会に出していないけど素晴らしい小規模ブルワリーの銘柄がたくさんある。Athletic Brewingの初期作品なんかは、品評会で評価される前から熱狂的なファンがついていました。

受賞銘柄を「基準点」として体験しつつ、そこから自分の好みを広げていく。これが一番健全な楽しみ方だと思ってます。

よくある質問

Q1. International Beer CupはWorld Beer Awardsと何が違いますか

主催団体と審査員の構成、開催国が違います。World Beer Awardsはイギリスの専門誌Beverを発行するパラゴンが主催し、欧米中心の審査員。IBCは日本クラフトビール業界が主催し、日本人審査員が約7割。同じ銘柄でも評価が異なることがあり、両方を見比べると多角的に銘柄を判断できます。

Q2. IBCノンアル部門の出品要件は

アルコール度数0.5%未満が条件です。日本の酒税法上のノンアル定義は1%未満ですが、IBCは欧州基準の0.5%未満を採用していて、これは世界三大アワードと同じ。0.00%表記の完全ノンアルから、微アル領域の0.4%程度までが対象範囲になります。

Q3. 受賞銘柄はどこで確認できますか

IBCの公式サイトで毎年の受賞結果が発表されます。部門別、賞別に検索可能で、過去5年程度のアーカイブも確認可能。商品パッケージのシールに記載された受賞年と公式サイトを照合すれば、本物の受賞銘柄かどうかが分かります。

Q4. 受賞銘柄は必ず美味しいですか

「スタイルに忠実」という意味では美味しい銘柄です。ただし、個人の味覚や食事との相性によっては「自分好みじゃない」と感じることも当然あります。受賞は失敗しない選び方の目安として、絶対の正解として捉えないのがおすすめ。実際に飲んで自分の感覚を確かめるのが一番確実です。

Q5. IBCで日本の銘柄が強いのはなぜですか

審査員の7割が日本人で、日本のビール文化が重視する「のどごし」「キレ」「食事との相性」が評価軸に反映されやすいから。さらに、国産大手4社の技術レベル自体が世界トップクラスに達していて、日本市場向けに最適化された製品が日本人審査員にも自然と高評価を受ける構造になっています。

Q6. ノンアル部門以外でノンアルが評価されることはありますか

過去にはSpecialty BeerやExperimentalカテゴリでノンアルが評価された事例がありました。ただし、現在はノンアル部門が独立して充実してきているので、ノンアルは原則ノンアル部門で審査されます。微アル領域(0.5%以上1.0%未満)は、また別カテゴリで扱われることもあります。

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