今回の投稿は編集部スタッフから「ノンアルコールビールに纏わる思い出」を寄稿してもらいました。どうやらノンアルビールには強い思い出・思い入れがあるようでして。ぜひお楽しみください♪
お酒に弱い人にこそおススメしたいノンアルコールビール
我が家はアルコールに弱い家系らしく家族全員、お酒があまり飲めない。例に漏れず私もビールを3口程飲もうものならそれだけで顔が真っ赤になってしまう。大学生の頃など成人を迎えたばかりの同級生が、「真夏に飲むビールは上手い!」と、ゴクゴク飲む姿を格好良いと憧れを持ち羨ましく思ったものだ。
ただアルコールに弱くてもお酒自体の味は好きで、家でおつまみを作っては家族と一緒にノンアルコールビールで『ナンチャッテ晩酌』をしている。「酔わないのにビールの味がちゃんとする!」と家族で缶を覗き込み、この不思議な飲み物について会話に花が咲くのが何とも面白いのだ。一人きりで、おつまみに台所で枝豆をぐらぐらと茹でながらキンキンに冷えたノンアルコールビールを立ったままぐびぐび飲むのもとても美味しく、まるで自分がお酒に強い人になりきった『ごっこ遊び』の様で楽しい。
私の父もアルコールにはめっきり弱いのだが、「飲めなくても飲みたいから飲む。」というのが彼の信条で外食に行った際は必ずそのお店でおススメされているお酒も一緒に頼む。真っ赤になりながらもご機嫌な父は楽しそうで、仕方がないなあと呆れながらも私たち家族はいつも笑っていた。
2021年9月30日。私と父はその日めずらしく2人きりで外食することになった。私の地元、三重県では緊急事態措置が9月30日まで延長されていた。店の中では間隔をあけて数人のお客さん達が静かに食事を楽しんでいる。店には数種類の地酒が置かれており、その銘柄と味の説明が書かれたメニューは何とも美味しそうで魅力的で、父が絶対に喜ぶだろうと私は父にお酒のメニューを渡した。案の定父は嬉しそうに店員さんを呼んだ。「申し訳ありません。」店員さんは緊急事態措置の為、お酒は提供できないということを説明してくれた。不思議な話だが翌日の10月1日になればまた店で飲めるようになるらしい。「何や、寂しいなぁ。やり取りを聞いていたのだろう。隣のテーブルに座っていたおじいさんが私達に一言声をかけてくれて、店員さんを含めて本当ですねと皆で苦笑した。
そうだ。寂しいのだ。心に訪れた感情が名前を持ってしみじみと体に染みわたる様だった。父とは代わりに頼んだノンアルコールビールで乾杯をしながら、私はこの苦い味が何だか私達を慰めてくれている気持ちがした。ノンアルコールビールがあって良かったなとグラスに注がれた黄金色を見つめて思った。また皆で肩を寄せ合い、同じ空気を吸ってお喋りをしながらお酒を楽しめるようになる日が早く戻って来ると良いと願っている。
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