オーガニック認証のノンアル飲料|USDA・JAS・EUオーガニックの違い

USDA・JAS・EUオーガニックのロゴと並ぶ有機ノンアル飲料 ノンアル
スポンサーリンク

先週、カルディの棚で「USDA Organic」のロゴが入ったノンアルIPAを手に取ったとき、隣にあった日本産の「有機JAS」マークのノンアル甘酒との違いを、ぱっと説明できる人ってどれだけいるんだろうと思った。私は仕事柄、輸入元の方から「うちのEUオーガニック認証品、JASマークを貼っていいですか」と相談されることがあるけれど、答えは原則NOです。

三つのロゴは、見た目は似てるけど、中身の制度はまったく別物。輸入ノンアルに貼ってあるロゴを「全部同じオーガニック」とまとめてしまうと、買うときの判断を間違えます。

この記事では、USDA(アメリカ農務省)、JAS(日本農林規格)、EUオーガニックの3制度を、ノンアル飲料の選び方という切り口から整理します。原料の95%ルール、表示できる文言、認証費用、相互承認の有無まで、現場で使える知識として書きました。

そもそも「オーガニック」とは何を保証する仕組みなのか

オーガニック認証は、農産物の栽培から加工までの工程で、化学合成された農薬や肥料、遺伝子組換え技術、放射線照射などを使っていないことを第三者が確認する制度です。「健康に良い」を保証する制度ではない、というのが最初の落とし穴。

ノンアル飲料の文脈で言うと、麦芽・ホップ・ぶどう・米・果汁などの原料が有機栽培で、かつ加工工程でも認められた添加物しか使っていない、という二段階の確認が入ります。ここの「加工工程」が国ごとに違っていて、ノンアル特有の脱アルコール工程をどう扱うかで判断が分かれる。

私が一番悩むのは、消費者の方から「オーガニックなら添加物ゼロですよね」と聞かれたとき。実は、3制度とも一部の添加物(クエン酸、アスコルビン酸、二酸化炭素など)は認めています。完全な無添加とは違うんだ、というのは最初に押さえておきたい。無添加とオーガニックの違いを整理した記事も併せて読むと、頭の中が整理しやすいと思います。

「95%ルール」という共通点

USDA、JAS、EUの3制度に共通するのが、「製品の原料の95%以上(水と塩を除く)が有機」であれば、オーガニック表示ができるという基本ルール。残り5%は、有機原料が手に入らない場合に限り、各制度が認めるリストの中から使える。

ノンアルワインで言えば、ぶどうが有機で、補酸用のクエン酸が非有機でも、合計が95%基準内なら認証が取れる。ここのリストは制度ごとに微妙に違うので、海外でオーガニックでも日本のJASでは認められない、というケースが出る。

USDAオーガニックの基本構造

USDAオーガニックは、米国農務省(United States Department of Agriculture)が管轄するNational Organic Program(NOP)に基づく制度。緑と白の丸いロゴで、Athletic BrewingなどのクラフトNAビールでも見かけます。

特徴的なのは、表示の4段階区分です。「100% Organic」「Organic(95%以上)」「Made with Organic Ingredients(70%以上)」「Less than 70%」で、それぞれ表示できる文言が違う。ロゴを貼れるのは「100% Organic」と「Organic」の2段階だけ。70%以上の製品はロゴなしで「○○made with organic△△」と書ける。

ノンアル飲料におけるUSDAの強み

米国のクラフトNAビール市場が伸びている影響で、USDAオーガニック認証付きのノンアル銘柄は世界で一番選択肢が多い。Athletic Brewingの一部銘柄、Lyre’sの限定ライン、Surely Wines(カリフォルニア産NAワイン)など、レンジが広い。

もう一つの強みは、USDAが認めた認証機関(CCOFやOregon Tilthなど)が世界中で活動していて、米国外の事業者でも比較的取得しやすいこと。日本のメーカーがUSDA認証を取って米国輸出、というルートが現実的になります。

USDAの落とし穴

米国のTTB規定でアルコール度数0.5%以下までをNA Beerと呼ぶ関係で、USDAオーガニックのノンアルビールにも0.0〜0.5%の幅がある。「USDAオーガニック=0.00%」ではないので、運転前や妊娠中に選ぶ場合は度数を別途確認する必要があります。

有機JAS(日本)の構造と厳しさ

日本の有機JASは、農林水産省が管轄する日本農林規格に基づく制度。「JAS」の文字を緑の葉っぱで囲んだロゴで、これを貼っていない製品は、たとえ海外でオーガニック認証を取っていても、日本国内で「有機」「オーガニック」と表示することはできない。

ここ、本当に大事なところ。EUオーガニック認証のノンアルワインを輸入しても、日本でラベルに「有機ワイン」と書くには有機JAS認証を別途取らないといけない。輸入元の方が一番頭を抱えるポイントです。

同等性認定という抜け道

ただし、日本はEU、米国、スイス、カナダ、英国、豪州などと「有機同等性」を相互承認していて、これらの国で有機認証を取った加工食品は、JAS認証を取り直さなくても、追加の手続きで日本国内に有機JASマークを付けて流通できる仕組みがあります。

とはいえこの「追加の手続き」が結構な事務作業で、輸入業者によっては割に合わないと判断して、ラベル上は「Organic」と英語表記だけで通すケースが多い。店頭で「USDA Organic」のロゴはあるけど「有機JAS」マークがない輸入ノンアル、というのはこれが理由です。

国産有機ノンアルが少ない理由

日本産で有機JAS認証のノンアル飲料って、正直、選択肢が少ない。一部の有機甘酒、有機緑茶ベースのモクテル素材、有機果汁100%のスパークリングくらい。なぜ少ないかというと、国産の有機ホップ・有機麦芽の供給量が圧倒的に足りないから。

クラフトビール醸造所が有機JASを取ろうとしても、原料を有機ホップに切り替えるだけで原価が2〜3倍になる、と聞いたことがある。ヤッホーブルーイングやコエドビールのノンアル参入の流れを見ても、有機路線に踏み切るところはまだ少数派です。

EUオーガニックの構造と「Bio」表記

EUオーガニックは、欧州連合の規則(現行はEU 2018/848)に基づく制度。葉っぱを星で形作った緑のロゴ(Euro-leaf)が目印で、ドイツ、フランス、イタリアなどEU加盟国全域で統一基準が適用されます。

ドイツ語圏では「Bio」、フランス語圏では「Bio」または「Biologique」と呼ばれていて、ヴェリタスブロイのようなドイツ産ノンアルビールで「Bio」とラベルにある銘柄は、このEUオーガニック認証を取っているということです。

EUの強み:ノンアル製法への対応

EUオーガニックの面白いところは、2022年の規則改正で、有機ワインの脱アルコール処理が正式に認められたこと。それまでは「有機ぶどうから作ったワイン」を脱アルコール化すると有機表示が取り消されるグレーゾーンがあったのが、明確に整備された。

これは大きい変化で、EU産の有機ノンアルワインの選択肢が一気に増えました。脱アルコール製法(真空蒸留、逆浸透膜)は認められていて、特に逆浸透膜は風味の保持が良いので、有機路線と相性がいい。

EUの認証番号の読み方

EUオーガニックのロゴ下には「DE-ÖKO-001」のような認証機関コードが必ず入る。DEはドイツ、ÖKOは有機、001は認証機関番号。これが入っていない緑の葉ロゴは偽物の可能性があるので、輸入ノンアルを買うときはここを確認するクセを付けると安心です。

3制度の比較表

項目USDAオーガニック有機JASEUオーガニック
管轄米国農務省(USDA)農林水産省欧州委員会
有機原料比率95%以上(重量)95%以上(重量)95%以上(農業由来)
ロゴ表記USDA Organicシール有機JASマークEuro-leaf+認証番号
4段階表示あり(100%/95%/70%/それ以下)2段階(有機/それ以外)2段階(95%/それ以下)
脱アル処理条件付きで可明確な規定なし2022年改正で明文化
同等性日・EU・カナダ等と相互承認米・EU・スイス等と相互承認日・米・カナダ等と相互承認
認証費用目安年間1,000〜数万ドル年間20〜100万円年間1,000〜数万ユーロ

表で見ると似てるけど、運用の細部が違う。たとえばUSDAは「Made with Organic」という70%基準の表示が認められていて、これは日本のJASにはない区分。逆に有機JASは表示のハードルが高いぶん、店頭で「有機JAS」マークがあれば95%基準をクリアしていると即判断できる安心感がある。

認証を取るコストとメーカーの判断

メーカー側の本音を書くと、オーガニック認証は「取りたくて取る」ものではなく「取らないと売れない市場があるから取る」もの。年間の認証費用、原料の有機化に伴う原価上昇、年1回の監査対応、書類の準備、すべてを合わせると、中小メーカーには重い負担になります。

具体的な数字感で言うと、年商10億円規模のクラフトブリュワリーが有機JASを取る場合、初年度の認証取得費用が80〜150万円、その後の維持費用が年間30〜60万円。これに加えて有機ホップ・有機麦芽の調達で原価が1.5〜2倍になるので、小売価格に転嫁すると一般ノンアルの2倍前後になります。

なぜ高くても買われるのか

欧米では、有機認証は「環境負荷の少ない農業を支持するためのお金の使い方」という認識が定着しています。買い物=投票、みたいな感覚。日本でこれが広がるかというと、私の肌感覚では、まだ時間がかかると思ってます。

ただ、ソバーキュリアスの流れで「飲むものの中身に意識的になる」消費者が増えてきていて、その流れの中で有機ノンアルを選ぶ層は確実に伸びている。マインドフル・ドリンキングの新潮流と有機認証は、思想的には相性がいい。

店頭で有機ノンアルを選ぶときの実践チェック

実際に買うときに私が見ているポイントを書きます。3つあります。

  • ロゴと認証番号が両方表記されているか(EUなら「DE-ÖKO-001」形式、USDAなら認証機関名)
  • 「Made with Organic」表記なのか「Organic」表記なのか(70%基準と95%基準を見分ける)
  • 有機JASマークの有無(国内表示として「有機」を名乗れているかの最終確認)

カルディや成城石井の輸入ノンアル棚は、このチェック練習にちょうどいい。USDAとEUのロゴが混在していて、有機JASマークが付いているものと付いていないものが並んでます。ロゴだけ大きく印刷して認証番号がない製品は、けっこう疑ったほうがいい。

「ナチュラル」「自然派」との区別

パッケージに「ナチュラル」「天然」「自然派」と書いてあっても、これは認証用語ではないので、有機栽培を意味しない。マーケティング用の言葉として誰でも使える表現で、根拠なく書いてあるケースが多いです。

本当に有機栽培なら、必ず認証ロゴと認証番号がセットで表示されている。これがなければ「自然っぽい雰囲気の通常品」と判断していい。

輸出を考えるメーカーへの実務メモ

国産ノンアルメーカーが海外輸出を視野に入れるなら、どの認証を優先するかは輸出先で決まります。米国向けならUSDA、欧州向けならEUオーガニック、両方ならどちらか一方を取って同等性で対応、というのが定石。

ただし、同等性は「相互承認」ではあるけど、ラベル表示の文言や栄養表示の単位など、現地ルールに合わせる作業は別途必要です。EU新規則でのノンアル表記ルールと組み合わせて、有機表示+アルコール度数表示+栄養成分の3点をクリアする必要がある。

あと、ハラル・コーシャといった他の認証との重複取得を考える場合、有機認証とは独立した審査になるので、コストは積み上がる。小さなメーカーが全部取ろうとして共倒れする例を何度か見てきたので、輸出戦略は的を絞ったほうがいい、と個人的に思ってます。

よくある質問

Q1. USDAオーガニックのノンアルを日本で売るとき、有機JAS認証は必要ですか?

パッケージに「有機」「オーガニック」と日本語で表示するなら、有機JAS認証または同等性に基づく追加手続きが必要です。英語の「Organic」表記のままで、日本語訳としての「有機」を使わない場合は、輸入時の追加手続きを省略しているケースが多い。これは違法ではないけど、日本の消費者保護の観点ではグレー、というのが現状の運用です。

Q2. 有機ノンアルビールの脱アルコール処理は、認証上どう扱われますか?

EUオーガニックは2022年の規則改正で脱アルコール処理を明確に認めました。USDAは個別判断で、認証機関と相談しながら進める運用。有機JASは明文規定がなく、現状は脱アルコール製法の有機ビールはほぼ存在しません。発酵抑制法(最初からアルコールを生成させない製法)のほうが、有機JAS文脈では対応しやすいです。

Q3. オーガニックなら添加物は完全にゼロですか?

違います。3制度とも、加工に必要な一部の添加物(クエン酸、アスコルビン酸、二酸化炭素、亜硫酸塩の一部など)は認めています。完全な無添加を求めるなら、別途「無添加」表記を確認する必要があります。オーガニック=無添加、ではないのが落とし穴です。

Q4. 有機ノンアルは価格が高いですが、味は本当に違いますか?

正直、味の違いをブラインドテストで言い当てるのは難しいです。私自身、ヴェリタスブロイのBio版と通常版を飲み比べても、明確な味の差は感じない。価格差は「環境負荷の低い農業を支える」コストと割り切る考え方が、海外ではスタンダードです。味で選ぶなら通常品でもいいし、思想で選ぶなら有機、という整理がしっくりきます。

Q5. 認証ロゴが偽造されているケースはありますか?

残念ながら、ゼロではないです。特に並行輸入品や個人輸入のECサイトで、ロゴだけ印刷して認証番号がない、または無効な番号の製品が出回ることがあります。EUオーガニックの認証番号は欧州委員会のデータベースで検索できるので、高額商品を買うときは番号の実在性を確認すると安心。USDAも認証機関の公式サイトで企業名を検索できます。

Q6. 国産の有機ノンアル飲料はどこで買えますか?

有機甘酒、有機ぶどうジュース系のスパークリングなら、自然食品店(ナチュラルローソン、ビオセボン、こだわりや)や大手スーパーの有機コーナーで見つかります。有機JAS認証のノンアルビールは国内産がほぼなく、ヴェリタスブロイなどの輸入品が主流。カルディで買えるヴェリタスブロイは、入手しやすさと有機認証の組み合わせで現実的な選択肢です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました